高層マンションで暮していた頃

私は大学を卒業した頃、女性三人でマンションを借りたことがあります。いわゆるルームシェアというもので、家賃も食費も光熱費も全て三等分して暮していました。値段が少し高いマンションでも三等分するとワンルームを借りるより安くなるので、かなりいい部屋に住めるというのが一番のポイントでした。しかも18階という高層で暮らしていたので、仕事から帰ってきて部屋に入り、リビングから見下ろす街の夜景はとてもきれいなものでした。独身の三人がそれぞれ恋愛相手を思いながら夜景を見て、語りあっていたあの頃は今の私にとってとても大事な思い出です。当時、私達には彼氏のいるいないに関わらずルールを設けていました。それは男子禁制というルールです。同じマンションで暮す以上、ある程度のルールは必要です。お金で揉めるのも避けたいと思うと同時に男で揉めるのも絶対避けたかった私達は、それを取り決めることにしたのです。そのため当時の彼氏とは玄関でサヨナラをして家の中に入れることは許しませんでした。今は違う人と結婚しているので、当時の彼氏のことを思い出す時は必ずあの3人で暮していたマンションを思い出すのですが、それがなんだかとてもロマンチックな思い出として残っています。玄関で別れなければならない切なさ、抱き合いたいくらいなのにそれができない高校生のような恋愛体験が強烈に私の心の中に残っているのです。みんなの目を盗んで一度部屋に入れたことがあったのですが、その日はなんだか初めてキスをした日に親の顔を見られなかった中学生のようでした。3人で決めたルールによって平凡な恋愛がスリリングな恋愛になり、勝手に2人で盛り上がってしまったのです。知らず知らずそのルールが2人のつながりを強くし、マンションの玄関に来ると自然と体が離れたくなくなりました。そして裏口に隠れてキスをしたこともありました。勿論大人になってからの恋愛ですし、相手もかなり年上の人でしたから、体の関係はありました。しかしそれが当たり前になっていた私達にとってまるで高校生に戻ったかのような恋愛を楽しんでいたのです。なんてことのない別れ際のキスに燃えたり抱き合う時には大きな障害を乗り越えたかのような気分になっていました。私はあの時の恋愛を忘れたくても忘れられないくらい強烈に覚えています。あの時暮したマンションの前を通るたび、胸がキュンとしてしまう私なのです。

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